2012/05/13

【用字用語メモ】「言う」と「いう」

「言う」と「いう」の使い分けに迷うことがある。何か基準となる考え方はないかと調べてみた。

廣瀬菊雄『公用文 用字用語の要点』によると次のとおり。

漢字の「言う」は、言葉を口に出して実質的に話す、述べる、しゃべる、告げる場合に用いる。

平仮名の「いう」は、実質的な「言う」の意味が失われている場合、あるいは「言う」という意味をとどめながらも動詞としての機能を半ば失っている場合に用いる。

(略)

要するに、口を動かして、思ったことを言葉で表すことが「言う」である。

論理は明快だが実際には区別が難しいことも多い。

『記者ハンドブック』によると次のとおり。

言う[思ったことを言葉で表す、述べる]

いう[「言う」の実質的な意味が薄れた場合など]

[注]使い分けに迷う場合は平仮名書き。

「使い分けに迷う場合は平仮名書き」という割り切りは組織内ルールなどとしては理解できる。しかし読み手にとっての分かりやすさを考えると「言う」が望ましい場合がありうる。「漢字とカナの組み合わせが『わかち書き』の役割を果たす」(本多勝一『日本語の作文技術』)という特性が日本語にあるからだ。

結局、表記の厳密さと読みやすさとを天秤にかけて、どちらが適切かその都度判断するしかない。